(痛い…苦しい……こんなの認めたくなかったのに…っ
だって俺はーー)
子を孕み、出産した。
男だった自分が女へと変えられ、犯され、それを否定していたすべてがこの事実によって完全に崩れ去ってしまった…。
アイクは想像を絶する痛みに解放されたことと、それによる絶望で意識が混濁していた。
胎盤を排出しないまま脱力し、産まれた赤子が産声をあげていても応えてやることができない。先程からアイクのそばで見守っていた”漆黒の騎士”と呼ばれるその男は、自らと同じ黒髪の”印の付いた”わが子が放り出されたままなのを見るや、渋面になりながら見かねて子を母の腕によせてやる。
喉を笛のように慣らし、息も絶え絶え。
焦点のさだまらない瞳でボロボロと涙をためているその姿。こちらの顔を認識できていない。鋭い眼光で殺意をもって睨みつけるか。何をしても苦痛に堪えるように、快楽すら素直に受け入れることをしなかったアイク。
産む間際、痛みに逃れたいばかりにこちらに助けを求め哀願する表情をむけたことをふと思い出し。
男はその時、その一瞬、自分が必要とされていたことに高揚感を得ていた。